海外余話

水源の危機

紛争や地域の経済・政情不安により、トラック輸送を含む非常用水源への需要が高まり、地下水はどんどん枯渇しています。地下水はその水脈を把握することが困難であり、地下構造物によって水脈が切断、遮断されて、水源としての湖や池が枯渇したり、河川の水量が減少したりします。

また、地下水の過剰な汲み上げにより地盤沈下が起こり、周辺の地下水が汚染、汚濁することもありますし、勝手に井戸を掘ってそのままほったらかしにすると、周辺の地上の汚濁物が混入して、汚染、汚濁が広がります。地下水は繋がってるので、ほんの一部の汚染から見えないままに広範囲の汚染に発展し、それを改善するのはほぼ不可能に近いと言われます。

工場排水などによる有害物質が放置された井戸を通じて地下水に浸入していく事例は多くあり、途上国ではこのような井戸水を飲んで、ヒ素中毒になったり、塩分が入りこんで健康に影響を与えるような塩害の被害を受けることもあります。

水不足を招く要因として、気候変動によって農業に必要な雨が少なくなり、塩水が淡水の帯水層に移動したり、地下水位が下がり河川水量が減少したりすることが挙げられます。水量の減少は汚染濃度、汚濁濃度を高め、自浄作用が効かなくなることで、被害が一層深刻になります。

南アジアの国では、低地にする貧困層が塩分濃度の高い地下水を日常生活で使用し、富裕層は高台に住んでいるため、塩分の含まれない地下水を得ているという研究もあります。